椎の花

ねむるまで 責めくるかをり 椎の花 能村登四郎
作者の家のすぐ近くには、椎の木があったのでしょうか?
真如堂の境内にも何本かの椎の木があって、少し前から匂っています。青臭い、生臭い、好ましくない匂いと感じる人が多いと思いますが、中には爽やかな初夏の香りと感じる人もいるようです。初夏の香りには違いありませんが・・・。
雄花と雌花が同じ木に咲き、垂れ下がるように咲いて目立っているのは雄花です。
「山紫水明」といわれた頃の東山は、赤松や落葉広葉樹が多い景色だったと思われます。しかし、山で薪をとることがなくなり、松枯れなどで松が激減して、60年ほど前から椎が勢力範囲を広げて、山の様子が変わりました。
今の時期になると、山の中に明るいクリーム色したカリフラワーのようなものがボコボコと出てきます。椎の花です。季節を知らせてくれるのはうれしいですし、しばらくすると目立たなくなりますが、あまりいい景色には思えません。