「小美術」というオブジェ

本堂の北側、渡り廊下に近いところに石造のオブジェがあります。
正面には、右から「小美術」という字が浮き彫りにされていて、上の翼のような形をしたものは回るようになっています。長年、土蔵脇の草むらに人知れずありましたが、紫陽花園を作る時に、「一体これはなんだろう?」と思って調べたところ、「小美術会」という会が活動を終える時の記念碑だとわかり、折角なので今の場所に移転しました。
「小美術会」とは、1904年(M37)、西川一草亭、浅野古香、津田青楓によって、工芸図案の地位向上を図って結成された会で、図案研究雑誌『小美術』を刊行して掲載作品の批評を行って図案本来の姿の探求を計りますが、津田青楓が日露戦争に徴兵されたことや部数の伸び悩みなどで、6号で廃刊となりました。
茶摘みの季節

5月1日は「八十八夜」でした。立春から数えて88日目で、「八十八夜の別れ霜」といって、この日以降は霜が降らないと言われています。気候も安定してきて、茶摘みや種蒔き、田植えなどを始める目安とされてきました。
真如堂の本堂の裏には、お茶の木の生垣があります。昔はこれを摘んで番茶などを作っていたのでしょう。
今ではそういうことはしなくなりましたが、近くの禅寺の指導者の方が、「ぜひ、雲水に茶摘みをさせて自分たちの飲むお茶を作りたい」と仰って、15年ほど前から毎年ではないものの茶摘みに来られるようになりました。
お茶作りなどやったことがない人ばかりで、最初は屋根の上で茶葉を天日干しした「お茶」なるものをいただきましたが、薄い青汁のようでした。自分で茶葉を煎ってお茶を作った経験があった真如堂の先々代貫主から製茶の手ほどきを受けてからは、何とかお茶らしいものになりました。そうして作ったお茶で、雲水さんの半年分のお茶がまかなえるそうです。
行事などの都合で、八十八夜からずいぶん遅れた頃にしか来られませんが、今年もお待ちしています!