引声阿弥陀経会

今日から3日間、「引声阿弥陀経会(いんぜいあみだきょうえ)」が本堂で勤められます。
慈覚大師(794-864)は、遣唐使として渡唐された時、五台山で大師は生身の文殊菩薩にお会いになり、極楽世界の八功徳池の波の音に唱和する妙なる「引声阿弥陀経(引声念仏)」を授けられたといいます。帰国後、大師の伝えられた引声は比叡山を中心に修せられましたが、現在、年中行事として行っているのは真如堂などわずかです。
一般に経文に節をつけて唱えるものを「声明(しょうみょう)」といい、引声もその一種ですが、「クミ由(ゆり)」「ツキ由」「和上(やわらあげ)」「和下(やわらさげ)」などの節回しは、通常の声明にはない引声独特のものです。
法要の間、本堂の正面には引声阿弥陀経の経巻と四菩薩を配した引声塔が、左脇檀には慈覚大師が唐より将来して常行三昧堂にまつったといわれる、念仏の信者の守護神である摩多羅神(まだらじん)が安置されます。また、右脇檀には、一度途絶えたこの法要を再興した泰門和尚(三井家3代。1748年没。泰門庵開祖)の木像と位牌がまつられます。
1年ぶりに勤めた今日の引声法要は、まだ少し声が不揃いでした。